遮熱塗料と空気の流れで暑い家を涼しくする方法
最上階には熱い空気が溜まりやすい!
最近のご相談の傾向として、「家の中が暑くなりすぎて困っている」というものがあります。7月ぐらいになると窓を開けて眠ったりしたくなりますが、防犯のことを考えると躊躇してしまいますね。
まず大切なことは、家の中に空気を溜めておかないことです。例えば3階建ての家であれば、一番暑くなるのは3階です。屋根には直接日光が当たるので、小屋裏(小屋は屋根と天井の間の部分)は室内で最も温度が上昇します。さらに、1階の暖かい空気は2階に上がり、2階の暖かい空気は3階に集まりますので、3階は極めて暑くなります。
これに対処する方法は、1階の窓や玄関と3階の窓を開けることです。こうしておくと、3階の窓からは暖かい空気が出ていき、1階からは冷たい空気が入ってきます。すると空気が循環するようになり、暑さも和らぎます。これは自然換気と呼ばれる手法です。
ポイントは2階の窓を開けないことです。2階の窓を開けると1階から上がってきた暖かい空気が2階で抜けてしまい、3階の暖かい空気はそのままになってしまいます。大事なのは大きな空気の流れを作ってあげることです。昔のお風呂には換気扇がなく、天井は斜めで壁に穴が開いているスタイルでした。お風呂で暖まった空気は斜めの天井に沿って上昇し、穴から抜けていたのです。
建物内の温度上昇を防ぐために遮熱塗料もよく用いられますが、遮熱塗料にしていても暑い場合があります。その場合は屋根に「換気棟(かんきむね)」が付いているか確認してみてください。換気棟は小屋裏の暖まった空気を外に逃がす役割を果たすもので、棟にスリットが入ったものや四角い形をした方形換気棟など、様々な種類があります。換気棟が設置された屋根は、軒天の有孔ボードから冷たい空気を取り入れて、換気棟から抜けていくようになっています。空気循環により、建物内の温度を一定に保つ効果があります。
これから屋根を葺き替える場合は、シャットアウト工法がお勧めです。スレート瓦は軽いのですが、野地板に密着するので、熱をダイレクトに伝えてしまう欠点があります。シャットアウト工法は、瓦の下に空気の通り道を作る工法です。この工法を用いればスレート瓦でも涼しい環境を手に入れることが期待できます。
もちろん、バルコニーにゴーヤなどの「緑のカーテン」を備えたり、すだれを設置したり、窓に遮熱フィルムを貼るのも有効です。
このように暑さ対策にはご自分でできるものもたくさんありますので、試してみてください。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。