陶器瓦・ガルバリウム鋼板・スレート瓦、屋根材の種類

主な屋根のタイプは3種類!

窯業系サイディング

前回まで、夏に起こる屋根の問題について解説してきましたが、リスナーの方から「もっと教えてほしい」というリクエストがたくさん来ております。今回はまず屋根の種類からご紹介しましょう。

屋根には大きく分けると陶器瓦・ガルバリウム鋼板・スレート瓦の3種類があります。

陶器瓦を使っている場合は、ほとんど手を入れる必要がないので、メンテナンス費用が安く済むというメリットがあります。また、断熱性と遮音性に優れています。ただし、台風や地震には弱いところがあります。台風では瓦が飛んだりしますので、普段から突き上げ調整(ズレを直すこと)をする必要があります。九州の方では「瓦止め」という、瓦が飛ばないようにする方法も普及しています。最近では関東でも竜巻が起こることもありますので、強風に備えて瓦の点検をした方が良いでしょう。

ガルバリウム鋼板の屋根の場合も塗装が必要ないので、メンテナンス費用がかかりません。台風・地震にも強い屋根です。ガルバリウム鋼板の屋根は一面体構造といって全部つながっているので、飛ばされることがありません。軽いため、耐震性も優れています。ただし、断熱性に難があるので、夏は暑くなりがちです。もっとも、今では屋根の野地板の下に通気層を設けるなど、様々な工法が用いられています。遮音性に関しては、要するに鉄板ですので、雨が降ったりすると音がしやすいという弱点があります。

スレート瓦の屋根も軽いので、台風や地震には強いです。ただし厚みがないので、断熱性や遮音性は劣ります。また、ガルバリウム鋼板とは異なり、塗装しなければならないことがほとんどなので、メンテナンス費用がかかります。
この3つのうちどのタイプの屋根なのかは、外見を見ればわかります。

陶器瓦の場合は棟瓦の下にあるメンド(三日月、漆喰)が壊れるケースがあります。中の赤土には石灰が入っていて雨が降っても流れにくくなっているのですが、外部の漆喰やモルタルが外れて水が直接かかるようになると、最終的には雨漏りの原因になったり、棟が崩れたりします。赤土が出ているかどうかは見ればわかります。

瓦はずれることもあります。昔は軒先だけ釘で留めて、あとは上に載せていくだけでした。最近は耐震性が求められ、一枚間隔で釘打ちしなければなりません。また、防災瓦という、瓦同士が噛み合って飛ばない構造になっているものも登場しています。製品によっては、風速110mまで飛びません。
実際に台風の時に瓦を観察すると、強風が吹くたびに浮き上がっていました。屋根のチェックを怠ってはならないと改めて思ったものです。

スレート瓦の場合は棟板金をチェックしましょう。釘が浮いていたりすると飛ばされてしまいます。スレート瓦はセメントでできていますが、棟は板金でできており、板金の下には貫板(ぬきいた)が設置されています。板金は貫板に釘で留めているだけなので、釘が抜けたり、貫板が浮き上がったりすれば風で飛んでしまいます。

ガルバリウム鋼板は一面体構造なので、滅多なことでは飛びません。飛ぶとしたら、屋根が丸ごと剥がれる時。古くなって下地のベニヤが傷んでくると飛ぶことがあります。もらい錆が付くこともあるので、よく観察しましょう。
どんな屋根であっても点検は必要! これを肝に銘じておいてください。

ブログ村ランキングアップへご協力お願いします。
にほんブログ村 住まいブログへ
にほんブログ村

[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

「見積もりの根拠がわからない」「見積もりの診断をして欲しい」という場合、
市民住まい向上委員会へご連絡ください。
市民住まい向上委員会では年間5,000人以上の方の相談を受けています。