高齢者・要介護者に安心なバリアフリーなリフォームとは?

できるだけ足腰が衰えないリフォームを!

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「高齢者、特に介護が必要な家族を持った場合に知っておきたいリフォームのポイントを教えてください」との質問を受けました。高齢化社会では、年老いた親を呼び寄せて一緒に住むことも増えていると思います。退職されて第二の人生を始める時は、バリアフリーを考える方も多いですね。

段差を5mm以下にする工事がバリアフリーと呼ばれていますが、最近では“バリアアリー”という工事も注目されています。これは、わざと段差を付ける工事です。バリアフリーと同じく手摺は付けますが、あえて段差を付けてリハビリなどに役立つ建物に作り替えるのです。足腰を鍛えるための建物ということですね。一般家庭でも、まずは手摺を付けるだけにして段差はそのままにしておいたりします。倒れては危ないので手摺は付けるけれども、足腰が弱らないように配慮するわけです。

他にもお風呂場やトイレなど、立ったり座ったりする所では転倒しやすいので手摺を付けることがあります。

素材にも最近ではこだわる人が多く、自然素材が好まれる傾向があります。普通のビニールクロスは水で溶いて貼るのですが、カビが生えません。これは、のりの中に防カビ剤が配合されているからです。あまり人体には良くないので、ビニールクロスを使わない業者さんも増えています。

最近人気が高いのは通気性が高い布クロス。通気性があるので、普通のデンプンのりでもカビが発生しにくいのです。ビニールクロスには調湿機能はありませんが、布クロスでは調湿も可能です。ビニールクロスは拭き取り掃除などが容易なので人気なのですが、健康面では布クロスが優れています。

親と一緒に住む選択をしたご家庭では、車椅子を使うためのリフォームをすることがあります。通常、玄関ドアは片方にしか開きませんし、段差がありますね。車椅子では通りにくいのですが、玄関をまるごと改装するとお金がかかる。そこで引き違いになっている掃き出しのサッシ(下枠は室内の床の高さと差がない)を利用して出入り口にしたり、掃き出し窓のある部屋をおじいちゃん、おばあちゃんの部屋にすることもあります。

バリアフリーリフォームには助成金が出る自治体もあります。自分の自治体ではどうなっているのか、一度調べておくと良いでしょう。

バリアフリーリフォームは、本当に年を取ってどうしようもなくなった時に行う最終手段だと思います。それまでは“バリアアリー”なリフォームで、段差を乗り越えてもらいたいものです。やっぱり、自分のことは自分でできるのが一番ではないでしょうか。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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