屋根の遮熱塗料の種類・効果を比較
遮熱塗料はよりどりみどり?
梅雨が明けると暑さが増してきます。今回は遮熱塗料についてご紹介します。
日が長くなると、直射日光を受ける屋根は表面温度が70~80℃以上になることがあります。すると室内にも熱が伝わってしまい、室温が上昇。「暑い!」ということになり、エアコンを付けたりするわけです。エアコンを付ければ室温は下がりますが、日が照っている間は屋根の温度は上がったままなので、その間エアコンを稼働させなければならないでしょう。すると空調コストが跳ね上がることになります。
遮熱塗料は、塗るだけで屋根面の温度が低くなるので、空調コストを抑えることができます。また、温度上昇を抑えることで屋根の寿命を延ばし、熱の放射を抑えてヒートアイランド現象等を抑制することも期待できる塗料、それが遮熱塗料なのです。値段は一般塗料より高いのですが、電気料金が安くて済むので数年で元を取ることができます。
遮熱塗料と一口に言っても、様々な種類があります。大きく分けるとセラミック系、顔料系に分けられますが、現在は大半がセラミック系となっています。
- 熱の反射・放射で温度上昇を抑えるもの
このタイプは高日射反射塗料とも呼ばれます。太陽光には紫外線、可視光線、赤外線が含まれますが、近赤外線領域の光は物質に吸収されて熱になりやすい性質を持っています。この近赤外線領域の光を効率的に反射することで塗膜と建物の温度上昇を抑える塗料です。 - 熱伝導率を高めたもの(真球ファインセラミック)
このタイプは熱伝導率が非常に優れているため、反射できなかった熱を蓄積させず、すぐに排除できる塗料です。 - 中空バルーン、中空ビーズを使ったもの
遮熱塗料には中空バルーン、または中空ビーズと呼ばれる微少な中空材料が含まれているタイプがあります。この中空材料には空気層が含まれるため熱エネルギーの伝導を行わないという特徴があり、塗膜の中で層を形成することによって遮熱効果を生み出します。
セラミック系塗料の大半は中空材料が使われています。元々はアメリカのNASAがスペースシャトルの断熱のために開発した素材でした。
実際には、これらの機能を併せ持つ塗料など、実に様々な遮熱塗料が販売されています。中には防音効果、防露(結露を防ぐ)効果などまで併せ持った塗料もあります。
一部では中空バルーンが破裂し、遮熱機能が失われたというクレームが増えているようです。これは中空バルーンが元々脆い素材だからで、真夏に突然雨が降ったりして急激な温度変化が起こると破裂してしまうのですが、最近ではこの弱点も克服した遮熱塗料が登場しています。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。