川崎市の災害対策〜川崎市総務局危機管理室啓発・予防担当の早川雄大さん談
川崎市の警戒区域は約750箇所!?
ラジオでは「バスター矢野が聞いてみた!」というコーナーを設けて、様々な方々からお話を聞いています。今回は災害対策について、川崎市総務局危機管理室啓発・予防担当の早川雄大さんにお話を聞きました(読みやすいように編集してあります)。
矢野 川崎市にある様々なマップについて教えてください。
早川 川崎市に限らず、災害のリスクはどこでもありますので、行政はリスクに応じて様々なマップを作っています。地震などが起きた時のために近くの避難所や水が汲める場所などを示した「防災マップ」、土砂災害の危険性がある地域を示した「土砂災害ハザードマップ」などがそうです。
川崎市は2つの川に挟まれた土地ですから、洪水が起きればあなたの地域はこれぐらい水に浸かってしまいますよ、ということを示した「洪水避難地図」という洪水ハザードマップもあります。それから、「津波ハザードマップ」。東日本大震災の洪水が記憶に新しいですが、川崎市も洪水が来ることが想定されているので、あなたの地域はこれぐらいの津波が来ますよ、ということを示しています。
ちょっとした雨で下水管が詰まったりしたために過去に床上浸水・床下浸水等が起こった場所を示した「浸水実績図」というものもあります。これはホームページだけで公開しています。
矢野 土砂災害マップを見てみましょう。結構ありますね……。
早川 川崎市では約750箇所の土砂災害警戒区域があります。ただ、レッドゾーンとイエローゾーンというのがありまして、レッドゾーンはより危険で、建物が倒れてしまうかもしれない、という区域です。幸い川崎市はレッドゾーンではなく、単に土砂災害に気を付けてくださいね、といったレベルの警戒区域が約750あるということです。一番多いのは麻生区(あさおく)で、250箇所くらいが集中しています。
矢野 このマップはどういった方が作られるのでしょうか。
早川 基本的には神奈川県が調査をして、土地の形状などを見て急傾斜地等を指定しています。
矢野 更新は定期的にされているのですか。
早川 はい。川崎市に関しては急傾斜地の指定は全部終わっています。広島の土砂災害では指定されていなかった所もありましたので、その後指定を進めている地区もありますね。
マップの裏面にも注目!
斉藤 マップの裏面には様々な注意事項やアドバイスが載っているんですね。日頃の備え、避難時の注意事項。防災情報の入手方法も載っています。こういうことも含めて自分の区域がどうなっているのか知ってほしい、ということですね。
早川 行政が「危ない、危ない!」と言っても混乱を招くだけです。危ないから逃げましょう、危ないからこのような備えをしましょう、と周知させないといけないな、と思います。
斉藤 この場合は「大雨が降ったらどうしなければいけないか」といったことですね。すごくわかりやすいと思います。
早川 ありがとうございます。
矢野 自助力、共助力、公助力とよく言われますが、私達ができることと言えば自助力だと思います。これを高めるためにはどうしたらいいのか、一般の方の中にはなかなかわからず、もういいと言われる方も結構おられます。自助力を高めるためにどうしたらいいのか、アドバイスをいただけますか。
早川 今回はハザードマップをいくつかご紹介しましたが、それだけではなく、行政は様々な情報を提供しております。何気なく渡された行政のパンフレットに結構重要なことが書いてあったりします。ですから億劫がらずに、できるだけ目を通していただいて、疑問に思ったことは何でも役所の方に聞いていただく。そうすると理解も進むと思います。
斉藤 後で読もうと思ってその辺に置いたまま、月日が経ったりしますよね。
早川 皆さん、お忙しいですから。でも、後になって「あの時来たパンフレットは、こういうことだったのか……」と思うような事態になってしまうと、私共としても悲しいですね。
斉藤 いざという時に遅くならないように、意識を高めておく。そのためにまず行政のパンフレットなどに目を通す。こういう作業が大事ですね。
矢野 やっぱり意識することは大切ですよね。今ここでドーン!と何かが起こったとしても、後悔しないように日頃から調べて準備しておくべきですね。
斉藤 ハザードマップとその裏に書いてある注意事項などをきっかけに準備するということですね。
矢野 こういった物はどこに行くと見られるのですか?
早川 川崎市に限らず、昨今の自治体には危機管理担当という者がおります。川崎市も7つの区それぞれにおりまして、区役所などに行っていただくと窓口がありますので、ハザードマップだけでなく様々な冊子などをもらえます。他の自治体にお住まいの方も、お近くの役所に必ずあると思いますので、行っていただければ、と思います。
斉藤 インターネットなどでも見られるとは思うのですが、役所で現物をもらうと、それを実際に広げて子供達と一緒にリアルに確認して、裏面を見て勉強することもできますよね。立派な紙の地図になっているわけですから、パソコンの画面で見るのとは全然違うと思います。
<続く>
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。