貪欲に技術を高め続けた一級塗装技能士の境地とは？

こだわりの一級塗装技能士が登場！

今回の「バスター矢野が聞いてみた！」のコーナーでは、一級塗装技能士である土屋謙司さんにお話を伺いました。土屋さんは市民住まい向上委員会の賛助会員である株式会社プロタイムズ総合研究所の「現場革命チーム」の部長さん。バスター矢野も唸る凄腕の職人さんです。

斉藤　土屋さんは部長さんとのことですが、お若いですね。

土屋　まだ30代前半です。

斉藤　部長さんということは……。

矢野　腕もいいし、度量も広い。常に前向きで、たくさん見習うところがあります。

斉藤　一級塗装技能士の中でも相当な技術をお持ちだそうですね。認定講師もやっていらっしゃるとか。

土屋　はい。

斉藤　認定講師とはどのようなお仕事ですか？

土屋　一般の方に塗装の知識や、優良施工をしてくださる業者さん選びを判断できるようなお話をさせていただいています。

斉藤　これから外壁をリフォームしようという方のための講習会で情報を教えてくださるわけですね。

矢野　絶対に参加した方がいいと思います。

斉藤　認定講師だけではなく、土屋さんは矢野さんもビックリの技術をお持ちだそうですね！　まず、このシルバーのペン立ての缶、これを土屋さんが手掛けられた。

土屋　銅が錆びていく「緑青（ろくしょう）」をペイントで表現しています。

斉藤　なんだか、外側が30年ものの質感ですね！

矢野　そうですね、中はキラキラしているのですが。

斉藤　ムラというか、錆というか、これはどうやって処理するのですか？

土屋　錆びさせること自体は簡単です。皆さんが知っているところで言うと、ディズニーランドでも使われている技術なんですよ。

斉藤　あっ、あの古びた質感は塗装で出しているんですか。

土屋　そうです。特殊な技術が施されています。

矢野　これもそうです。

斉藤　プラスチックのコップですね。でも、表面が大理石のようになっている！　これは、一般の塗装に携わる方はみんなできることなのですか？

土屋　一般の建築塗装と呼ばれる分野ではほとんど行っていないと思います。

斉藤　ダンボールにも塗ってありますね。これは木目調だ。

土屋　刷毛を使って木目を描きました。

斉藤　こちらのダンボールもつるつるの大理石のようになっています。

土屋　塗装で大理石を表現しています。

斉藤　壁にこれで塗ったら、本物と見分けがつきませんね。めちゃくちゃお金のかかった家に見えるな（笑）。技術的には、一般の外壁を塗る方が持っていない技能になるのでしょうか。

矢野　この技術はデコペンと呼ばれていまして、専門の職人さんがいます。土屋さんが凄いのは、何でもできること。デコペンもできますし、家具や住宅の塗装からビルの塗装もやってしまいます。

斉藤　玄関ドアの塗装が剥げていても、ピカピカに直せるんだ。

矢野　それは外壁塗装ではなく、家具塗装の範疇ですね。

斉藤　家具塗装は家具専門の方がいるんですね。普通であれば、一級塗装技能士にとって家具塗装は専門外。でも、土屋さんにはできるんですね。

矢野　そこが凄いところです。普通は家具の塗装は別の業者さんにお願いしたりしますので。

斉藤　これは何の写真ですか？

土屋　職人さんの結婚式がありまして、ウェルカムボードをパテを使って作成しました。

斉藤　バラもパテで作ったんですね。中央のボードには新郎新婦の顔が描いてある。

土屋　エアブラシで描きました。ベニヤ板にパテを塗って平らにして、ペイントしてあります。

斉藤　一生ものですね。相当な技術です。

矢野　これはどちらかと言うと絵ですから。

斉藤　アーティストですよね。エアブラシのアーティストがいますけど、一級塗装技能士の技術にはないジャンルでしょう。

矢野　ないですね。

斉藤　土屋さんが専門外の技術まで極めようと思ったきっかけは何ですか？

土屋　塗装という職種が好きなのが一つ。外壁などの塗装を普段はやっていますが、それ以外にも色々な可能性に挑戦したいということで、様々なスクールを見に行ったり、専門業者さんに教えていただいたりしました。エアブラシなどは独学で習得して、お客様へのプレゼントを作ったりしています。

斉藤　矢野さんも一級塗装技能士の資格を持っていますが。

矢野　私もデザイナー学院に通っていたことがあって、絵を習ったのですが、ここまでは描けないです（笑）。これはけっこう難しいですよ。

斉藤　プロの作業ですよね。