屋根外装の台風対策
屋根が壊れるのを防ぐには
2016年の夏は台風が大変多く、皆さん難儀な思いをしているのではないかと思います。今回は屋根外装の台風対策についてお伝えします。
まず屋根ですが、特に和風の瓦はよく飛びます。昔は防災瓦というものがなく、瓦は葺き土の上に押しつけて接着するものでした。築年数が経過して接着力が落ちれば、屋根瓦は強風で吹き飛ばされることがありました。もっとも、これは今とは防災対策が異なっていたからでもあります。昔は、瓦が飛んだりしても、集めて葺き直せば元通りになる、という考え方だったのです。瓦自体は耐久性が高く、断熱性や耐候性も優れている建材なので、台風が多い地方でも重宝されていました。ただし、どうしても屋根の重量が重くなるので、近年では耐震性の問題から軽い屋根材が選ばれることが多くなっています。
また、和瓦には定期的に突き上げ調整も必要です。突き上げ調整とは、ずれた瓦を正しい位置に戻すこと。単に「瓦を突き上げる」と言われることもあります。逆に言えば、和瓦の屋根はずれることを前提に作られているところがあるので、日頃からチェックしておかないと、瓦の隙間から雨漏りが生じたりすることになります。
現在では棟や袖だけに葺き土を使用し、瓦桟木と呼ばれる木に瓦を引っ掛け、全瓦を釘で留めるようになっているので、和瓦でも飛びにくくなっています。
ずれや飛散については、スレート瓦やシングル葺の瓦の方が、セメント瓦や陶器瓦よりも耐久性が高いと言えます。スレート瓦も、釘を使って固定してあります。ただし、スレート瓦は表面が劣化しやすいので、定期的に塗り替えなどをしなければなりません。また、軽いのがスレート瓦の特徴ですが、釘がゆるむと飛散の危険性が出て来るので、チェックが必要です。シングル葺はアスファルト紙に小さな石を吹き付けた屋根材です。ずれや飛散の心配はありませんが、屋根板が傷むと劣化が激しくなります。
現在では防災瓦に注目が集まっています。防災瓦は瓦同士が噛み合わさる構造になっているので、風によってずれたりめくれたりしません。さらに、釘を通す穴が開いているので、やはり釘で固定することができます。防災瓦であれば、台風が来てもとりあえず安心です。葺き替えをする場合は、防災瓦を選ぶと安心できます。
なお、台風による被害も風災害になるので、火災保険の対象になります。「雨樋が曲がってしまった」という場合でも適用される可能性があるので、問い合わせてみると良いでしょう。
台風に対して万全の対策を取りたければ、防災瓦にするのが一番です。それ以外の屋根材を使用している場合は、屋根材の特徴に合わせてチェックをしましょう。対策が間に合わない場合は、屋根瓦飛散防止ネットが販売されているので、検討してみると良いでしょう。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。