住宅の価値を左右するメンテナンスの良し悪し
“高く売って新しい家に移り住む”という選択肢も
引き続き、「住まいの価値」について不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡さん(あおい不動産コンサルティング代表取締役)に話を伺います。
斉藤 皆川さんは不動産鑑定士であり、住宅診断士でもあります。2つの資格をお取りになったのはなぜですか。
皆川 今までの不動産評価は「法定耐用年数22年ぐらい」というのを軸に評価する傾向が強かったのです。その間のリフォーム、増改築、模様替えなどはきちんと評価に反映されていなかった。ただ、大工さんの腕や住宅メーカーの施工品質、建物を使う人のメンテナンスの状況によって、中古住宅はまったく状態が異なるのです。そこを開示して、きちんと評価できるようにするには、住宅診断士の資格も必要だったのです。
斉藤 人間と一緒ですね。体のケアをして健康に生きているのかとか、いい洋服を着て格好つけているけどお酒の飲み過ぎで肝臓がよろしくないとか。毎日の掃除なども重要になってくるわけだ。車もそうですね。洗車、オイル交換をしているかどうか。
皆川 おっしゃるとおりです。
斉藤 あるべき価値を診断士が調べてジャッジしていくわけですね。住宅に関する診断士には耐震診断士や雨漏り診断士など様々な人がいますが、それぞれのジャンルで家を生き返らせる作業をしている家主はそれなりの価値を認められる時代がやって来た、と。
皆川 そうですね。また、買い替えなども今まで以上に容易になってきます。きちんと建物を可愛がっていれば、価値も認めてくれる。住宅診断士、雨漏り診断士、外壁劣化診断士などに見てもらい、木造ならばシロアリなどもチェックしてもらって、きちんとケアされた建物であれば、価値を認めてもらって高く売ることもできます。それだけ新しいところに移り住むのも容易になるでしょう。
斉藤 「上物の価値はないから、雨漏りしてもここに住み続けよう」という時代ではもうない、と。子供が巣立ったら郊外で狭くても庭のある家に住むとか、そういうことがもっと容易にできるようになる。
皆川 ええ。
斉藤 こうなると家に対する意識も高まりますね。もうちょっと綺麗にしようとか、自分でできるところは自分でやろうとか。意識が変われば価値も高まる。
皆川 そうです。そして、一つ一つの家が外壁を塗り替えたりしていくと、町並みも綺麗になる。町の価値のアップにもつながるのです。
<この項、続きます!>
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。