外壁塗装の金額を考える

外壁塗装 養生

もやもやする外壁塗装の金額

外壁塗装や屋根塗装の見積書を複数集めてみると、塗装業者によって書式がばらばらで、比較が容易でないことがあります。そのため適正価格がわからず、もやもやした気分のまま塗装を依頼する方もいらっしゃいます。ここでは外壁塗装の金額を考えてみます。

適正価格を知るために一般的に言われているのは、平米単価の相場を知ることです。最近は良心的なサイトも増えているので、外壁塗装工事の平米単価を知ることは容易です。サイトによっては、外壁塗装の項目別(足場の種類や高圧洗浄、ケレンや養生など)の相場まで紹介しているものもあります。平米単価の相場からかけ離れた費用を提示してくる業者でなければ、ひとまず安心して良いでしょう。

しかし実際には、もっと重要な数字があります。それは塗装面積です。塗料を塗る面積がわかれば、必要な塗料の量もわかり、適正価格もより正確にわかります。ところが現実には家の図面を保存していないことも多く、家の塗装面積を把握している人は少ないので、まずは塗装業者が概算で算出することになります。
外壁の塗装面積は次の式で求められます。

延坪 × 3.3(1坪=3.3m²) × 係数(1.2~1.7)=外壁の面積

特に、この係数が曲者です。たいていは業者の経験等に基づく数字(これぐらいの家なら窓などがこれぐらいあるだろう、という想定)なので、業者によって係数には違いがあります。つまり見積もりの段階では、最も大事な数字であるはずの外壁の面積が業者によって一定せず、正確な比較が難しいということになります。さらに、実際に塗装を依頼すると、業者が建物を訪れて正確な塗装面積を実測します。つまり、最終的な塗装料金はこの時点までわからないわけです(実測は形だけで、結局概算で仕事を進める業者もいます)。依頼する側としては、言われた数字を信じて仕事を頼むしかありません。

実は、この問題を簡単に解決する方法があります。それはCADを用いて正確な塗装面積を算出しておくことです。CADとはcomputer-aided designの略で、コンピュータによって設計を作図すること。CADによって最初から正確な数字を出しておけば、業者によって計算の根拠が異なることはなくなります。一度算出した数字は家を増改築しない限り、いつまでも使えます。屋根や付帯部分などの面積もわかります。

また、正確な塗装面積を知れば、塗装に必要な塗料の缶数も簡単に算出できます。塗料には基準塗布量があるので、面積ごとに必要な量は塗料によって決まっているからです。これを守らず、塗料を薄く伸ばして塗ると少ない塗料で済むので塗装業者は得をしますが、その外壁は塗料の性能を十分に発揮できなくなってしまいます。しかし、必要な缶数まで計算しておけば、おかしな業者に引っかかることもないでしょう。

もちろん、良心的な業者がほとんどだと思いますので、業者が提出してくる見積書に基づいて業者選びを始めても問題はありません。しかし、できれば専門業者に頼んでCAD図面を手に入れておくことをお勧めします。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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