住宅防犯はちょっとした住まいの気配りから
オートロック、3階の部屋なら防犯は万全?
「マンションに住んでいます。近所で空き巣が出た話があったのですが、今度1週間ほど家を空けることになりました。ウチはオートロック、3階の部屋なので、防犯は大丈夫ですよね?」という質問を受けました。空き巣は一定期間に狙うエリアが決まっているので、注意が必要です。
プロの泥棒は行き当たりばったりで盗みに入りません。必ず入念な下見をしているのです。つまり、一軒泥棒に入られたら、その周辺も観察されている場合が多いのです。そのため立て続けに近所が被害に遭うことがよくあります。
オートロックということで安心されている方も多いと思いますが、気を付けていただきたいのは「共連れ」という手口。住人の方がマンションに帰ってくるのを待っていて、一緒に中に入ってしまうのです。かつてマンションでもピッキングの被害が多発したことがあったので、泥棒の侵入を許さないように注意した方が良いでしょう。また、住まいが3階にあったとしても油断はできません。共連れで侵入すれば空き巣は可能ですし、雨樋を伝って侵入する空き巣もいます。
安全な住まいであっても安心はしない方が賢明です。できれば出かける前に隣の方に「留守にしますので」と声をかけておくのが良いでしょう。
防犯チェックリストで確かめてみる
「ウチには取られるものはないから」という話をよく聞きますが、泥棒にはその家にお金があるかないかはわかりません。つまり狙われる家には別の理由があるのです。
狙われる家には次のような特徴があります。3つぐらい当てはまれば要注意です。
- 角地の家
- 見通しの悪い家③近くに空き地・空き家・駐車場がある家
- 近くに公園がある家
- 女性の一人暮らし、高齢者の世帯
- 山沿いの家
- 留守がちな家、近所も留守が多い家
①…泥棒は入りやすく逃げやすい家を好みます。角地の家は両隣に家がありませんので、逃げる経路が多いのです。
②…門扉には鍵をかけない方もいます。そして、カビ対策としてお風呂の窓を開けたままにする方もいますね。このような家で植栽・塀が高いと、周囲から見られることなく侵入することが可能になります。
③④…空き地などがあると泥棒が潜伏しやすくなります。泥棒はまず家を観察しようとしますので、潜伏場所があると都合が良いのです。公園の場合は不特定多数の人間が出入りしても怪しまれないので、やはり家をじっくり物色するのに向いています。⑤…女性の一人暮らしの場合は郵便物をチェックされる場合があるので、郵便ポストには鍵をかけましょう。高齢者の場合は、車に高齢者マークを貼ったままにしておくと「高齢者が住んでいます」と周囲に知らせることになります。振り込め詐欺や悪徳業者にも狙われやすくなるので、車に乗らない時は外しておきましょう。
⑥…やはり逃げやすいので狙われます。
⑦…泥棒は侵入に時間がかかるとあきらめます。一般的には5分以上かかると断念すると言われていますが、留守であればたっぷり時間がかけられます。ちなみにドアの鍵を2つにするなど、侵入に時間がかかるように工夫するのは有効な防犯対策です。
もちろん、置き鍵をするのはやめましょう。置き鍵を隠す場所はだいたい決まっていますので、泥棒には簡単に見つけられてしまいます。
警察の方によると、最近の泥棒は置き鍵を見つけるとまず合い鍵を作るそうです。そして家をよく観察してから犯行に及ぶ。家の人は泥棒に入られるまで気づきません。しかも、合い鍵があればいつでも入れるので、お金も少ししか盗っていかない場合もあるそうです。家の人は、少しぐらいお金が減っていても勘違いだと思うので、何度でも簡単に盗みに入れるというわけです。
最近はキーボックスという便利なものがありますので、活用を考えてみると良いでしょう。
最も簡単で効果的な防犯の方法は、知らない人にも挨拶をすることです。泥棒は「覚えられた!」と思ったら、その地域からは姿を消してしまいます。田舎では玄関の鍵もかけない家が多いですが、田舎では余所者がいると「どこから来たの?」とすぐ聞かれるので、泥棒にとっては都合が悪いのです。
ちょっとしたことで防犯の役に立つこともあります。例えば庭に工具を放置しないこと。剪定ばさみ、スコップ、鎌、ドライバーなどを放置している家は結構あると思いますが、泥棒に使用される恐れがあります。マイナスドライバーやバールなどは指定侵入工具に当たるので、建設業以外の人間が持ち歩いているとピッキング防止法で処罰されることがあります。そのため最近の泥棒は工具を持たず、その家にある物を犯行に使うことがあるです。
長期間出かける際は雨戸を閉めるのも手です。雨戸は下だけロックするものが一般的ですが、上にも鍵を追加すれば開けるのに時間がかかるようになります。ポストに郵便物を溜めるのもやめましょう。新聞は販売店に連絡して止めてもらいましょう。
なお、犯罪者に知られない方が良い情報については直接お伝えしますので、市民住まい向上委員会までお問い合わせください。
☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆
住まいに泥棒が侵入する経路として一番多いのは、お風呂場の窓です。理由は鍵をかけ忘れてでかけることが多いから。お風呂場はカビが生えやすいので窓を開けておく方が多いのですが、「ウチのお風呂場の窓には格子が付いているから大丈夫」と思っていると、意外や意外。大抵の格子はリベットでかしめてあるだけなので、強く引っ張れば簡単に取れてしまうのです。つまり、鍵がかかっていなければ窓を開放しているのと同じこと。防犯のためには鍵をかけることが大事です。カビが気になる場合は、換気扇を回して出かけると良いでしょう。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。