アスベストを含まないスレート瓦・コロニアル
コロニアルが誕生するまでの道程
コロニアル屋根はスレート屋根の一種です。カラーベストと呼ばれることもあります。かつてクボタ松下電工外装株式会社のスレート瓦が「カラーベスト」「コロニアル」という商品名で販売されて高いシェアを誇っていた歴史があるため、一般名称化しているのです。現在ではクボタ松下電工外装は「ケイミュー株式会社」と名前を変えており、「コロニアル」という商品名・ブランド名で屋根瓦を販売しています。
一般的にはコロニアル=スレート瓦=カラーベストという理解でも問題ないのですが、今回は元々どのように分類されていたのかを見ていきたいと思います。
・スレート瓦
スレート瓦とはセメントや粘土などから作られた瓦のことです。元々スレートは「粘板岩」のことを意味しています。厚型と薄型があり、コロニアルは薄型に分類されます。厚型はセメント瓦の一種で、一般的にはモルタルを用いて作られます。ケイミューでは瓦の重量感を残したまま陶器瓦の1/2の軽さを実現した厚型スレート「ルーガ」を販売しています。
以前、スレート瓦は主成分がアスベスト(石綿)でできていた時期がありました。このため「石綿スレート瓦」という呼び名も残っています。現在ではアスベストを使用したスレートは製造されていませんが、「スレート瓦=アスベスト」というイメージが定着したため、後述する「カラーベスト」「コロニアル」という名称が使われるようになったのです(とは言え、以前に建てられた家ではまだ石綿スレート瓦が使われていることがありますし、ケイミュー以外の会社からは「スレート」という名前で新製品が発表されたりしています)。
・カラーベスト
アスベスト対策のため開発されたのがアスベストを含有していない薄型スレート瓦「カラーベスト」シリーズです。ケイミューでは「コロニアル」もカラーベストシリーズに含まれます。その名のとおりカラーバリエーションが豊富で、超高耐候性を備え、耐久性に優れます。重量は一般的な粘土瓦の1/2以下だと言われており、耐震性にも優れます。
・コロニアル
主にセメントとパルプ繊維によって作られた薄型スレート瓦が「コロニアル」です。ケイミューの主力コロニアルは「コロニアルクァッド」という商品で、新築住宅、建売住宅では最も多く使用されているとのこと。メンテナンス時期は約30年と言われており、やはり高い耐久性を誇ります。ハイグレード商品として「グラッサコート」と呼ばれる色褪せしにくい塗装技術を用いた「コロニアルグラッサ」があります。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。