表面を砂粒で着色した軽量な屋根材『アスファルトシングル』

メリットが多いシート状の屋根材

アスファルトシングルは屋根材の一種です。アメリカでは80%以上のシェアを誇ると言われています。
一般的にはガラス繊維(グラスファイバー)を基盤としてアスファルトをコーティングし、表面が傷つかないように石粒等を圧着させたものがアスファルトシングルと呼ばれます。かつては火災に弱いと言われていたのですが、現在では防火試験(屋根飛び火認定試験)にも合格し、建築基準法の性能評価でも認められています。日本ではあまり普及していませんでしたが、近年は増加傾向にあります。

アスファルトシングルは下葺き材(ルーフィングシート、防水シート)に使用されるアスファルトルーフィングや改質アスファルトルーフィングと名称が似ているので混同されることもありますが、下葺き材ではなく仕上げ材です。シート状になっている点で、他の屋根材と一線を画しています。カッターやハサミでも切断できるので加工が容易で、複雑な形状の屋根にも施工が可能です。

耐候性・耐久性・防水性にも優れており、価格的にも安価(ただし塗装が劣化したら塗り替えが必要です)。粘土瓦に比べて軽量なので、地震の時にも有利です。最近ではセラミックを焼き付け塗装した製品もあり、ハイグレードなものは保証期間が25~30年となっています。

一般的な瓦と比べて、飛散・落下しづらいのもメリットです。このため中層マンションなどではよく使われています。
また、表面の石粒が緩衝材となるため、雨音に対する防音性能にも優れています。

さらにカバー工法が可能なので、リフォーム工事では重宝されます。カバー工法では古い屋根を剥がさずに施工できるので、コストを大幅に削減できます。アスファルトシングルにアスファルトシングルをカバーしたり、コロニアルの上からアスファルトシングルを重ね葺きすることも可能です。
アスファルトシングルを扱うメーカーでは、建物に適した工法などをアピールすることで差別化を図っています。このため性能や見た目が異なるさまざまな製品が市販されています。

アスファルトシングルのデメリット

アスファルトシングルの供給量は非常に少ないため、技術力や経験が豊富な施工業者も不足しているという現状があります。
また、ほとんどがアメリカからの輸入品であるため、日本の気候風土に適合しているのか疑問が残ります。
ただし最近では、国産のアスファルトシングルも登場しています。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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