近年増えている屋根形状『片流れ棟』

高いデザイン性で人気の屋根

片流れ棟とは片流れ屋根の棟部のことです。片流れ屋根は近年増えている屋根形状で、空を斜めに切り取るようなソリッドなデザイン性が人気を集めています。一枚の板が建物全体を覆うような構造になるので、山型になる切妻屋根などと比べるとシンプルな構造になります。
片流れ屋根には主に次のようなメリットがあります。

1．太陽光発電に有利
片流れ屋根は大きな一枚板で形成されるので、屋根面を南に向ければ大きなパネルで日光を受けることができ、太陽光発電に有利です。発電効率を重視するのであれば屋根勾配を調整することも可能でしょう。

2．コストが比較的安い
片流れ屋根は他の屋根形状と比べると天井と屋根の間を小さくでき、シンプルな構造になるので、工事費は安くなります。また、雨樋は軒先に取り付けられますが、一方にしか軒先がない片流れ屋根では雨樋の量も少なくて済みます。

3．屋根裏の活用
片流れ屋根では屋根裏空間を活用しやすくなります。屋根勾配によって必要な天井高を生み出すことも可能になりますし、窓も確保しやすくなるでしょう。

片流れ棟の弱点

片流れ屋根にもデメリットはあります。まず、雨漏りの事例が多いこと。切妻屋根では2方向に水が流れますが、片流れ屋根では1方向にしか流れず、単純計算すれば2倍の雨が流れ落ちることになります。同時に、その水を受ける雨樋にかかる負担も増大します。

また、箱型のデザインを追求するために軒やケラバの出を小さくした住宅では、外壁や窓ガラスなどが雨水や日差しなどの影響を受けやすくなります。これらの要因を考えると、雨漏りにつながるトラブルが起こりやすいことがわかります。

また、片流れ屋根の棟部は上に向かっています。破風板を取り付けることによって水の浸入を防ぎますが、野地板との接合部の処理には注意しなければなりません。同様に、屋根上部の軒天と外壁の取り合い部分も雨が浸入しやすい箇所です。

弱点克服

他にもいくつか弱点がありますが、注意深く施工することによって雨漏りしたり劣化が進行する可能性を減らすことができます。

例えば片流れ屋根の棟部に透湿ルーフィングを巻くだけでも接合部からの伝い水の浸入を防ぐことは可能です。ちょっとした工夫で大きな効果を得られることもあるので、長く安心して住むためにも必要な施工はできるだけ実現させたいものです。

できるかぎりの雨漏り対策をしておけば雨漏りや劣化のリスクを減らすことにつながり、、多少初期費用が増えても十分に元が取れます。

（参考：Webサイト「三州瓦の神清」片流れ屋根のメリット・デメリット～）