斉藤リョーツさん宅のベランダ笠木の錆びと浮き

構造体に影響がある場合はリフォームが急務!

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写真はイメージです

前回は斉藤リョーツさんのお宅の外装を診断しましたが、今回は内部の診断を行いました。
以前に写真診断した際は、2階の窓枠のコーナーに隙間ができていました。実際に見てみると、窓の開閉もしづらくなっていましたね。隙間を覗いてみると、結露のためにかなり内部まで腐食していることがわかりました。窓の横には柱があることも多く、柱が傷んでしまうこともあります。冬になったら窓の結露をこまめに拭き取り、隙間には防水性の高い詰め物をすることをお勧めしました。

実際に斉藤さんの家では器具を隙間に差し込んでみたのですが、窓枠近くの柱まで腐食が進んでいたようです。家を支える構造体に不具合が出るのは大変危険です。

天窓部分も結露のために壁紙が剥がれていましたが、天窓周りには構造体がないので緊急度はそれほど高くありません。

また、階段を降りたところのフローリングがふかふかしていました。斉藤家のフローリングは積層のベニヤを重ねたものです。ベニヤは接着剤で連結されているのですが、22~23年ほどで成分が揮発して接着力が落ちてきます。すると薄いベニヤが何枚も重なったような状態になるので、ふかふかになるのです。特に階段の降り口などは負荷がかかりやすい場所ですから、傷みも早い。いずれは貼り替えないと踏み抜いたりして危険です。貼り替える場合は無垢材を使うと良いでしょう。ベニヤの接着剤にはホルムアルデヒドやキシレン、トルエンなどの化学物質が含まれています。F☆☆☆☆(エフフォースター)の項で説明したとおり、四つ星の製品ならいくら使っても問題はないのですが、化学物質が含まれていることに変わりはないので、最近では無垢材などの自然素材を使う方が増えています。

斉藤家で最も破損がひどかったのはベランダの笠木部分です。笠木に被せた金属板が錆びて膨張し、浮き上がっていました。シーリングも硬くなって切れ、水が回ってしまっていました。

斉藤さんのお宅の場合は、外壁を直すのが最優先課題です。ベランダも破損はひどいのですが、構造体には影響していませんでした。したがって二番目に直した方が良いのがベランダです。内部に関しては建物の寿命とあまり関係ありませんが、踏み抜く危険性があるので三番目にフローリングを直した方が良いでしょう。

なお、今回はロケを兼ねていたので家の正面側しか見ていませんが、実際にはさらに詳細にお宅を拝見します。奥様にもご同席いただくと、ご相談の際も話し合いがスムーズに進んで良いと思います。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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