屋根外壁塗装における手抜き工事の実態
ちょっとした怠け心が生む不良施工
今回は不良施工が起こってしまう典型的な事例をご紹介します。
それは、文字通り「手抜き」によるものです。怠け者が結果として不良施工を行ってしまうのです。
外壁塗装をする場合は、2階、3階と塗らねばならない場合が多いので、大抵は足場を組みます。職人さんは足場に登って塗装を行うわけです。
足場の広さは限られますので、持って上がれる塗料には限りがあります。使い切ったら、下まで降りて新しい塗料を持って上がらねばなりません。これはなかなか面倒です。
さて、塗装を行う場合は、当然一面を同じ色で塗らねばなりません。業界では「面で切る」と言われますが、出隅や入隅(壁や板など、2つの平面が出合った所の外側/内側の隅)の所で休憩を取ることがあります。面の途中で塗装をやめると次に塗った時に色が変わったりして目立ちますので、できるだけ差異がわからないように工夫しているのです。ところが、あと少しで面で切れるという時に、塗料が足りなくなることがあります。本来であれば、新しい塗料が必要です。しかし、下まで取りに戻るのは面倒。それで、ついつい塗料を伸ばして塗ってしまうのです。このようにして仕上げられた外壁は、一部だけ不良施工ということになってしまいます。このため出隅や入隅の近く、あるいは作業の最終段階で塗った箇所に不具合が出ることが多いのです。
ローラーによる塗装でも手抜きが発生することがあります。ローラーは縦、横に塗っていくのが基本です。それは仕上げでも変わりません。塗料は下に下がるので、下から上、そして横に塗っていきます。ところが怠け者は、横を省いて縦の動きだけで塗装するのです。横を省けばそれだけ腕が疲れませんので。素人目にはわかりづらいのですが、塗装の目が変わってきますので、同業者が見れば一発でわかります。陽が当たるとムラになって見えることもあります。
塗装の場合は、一級塗装技能士などの資格を持った人に仕事を依頼した方が良いでしょう。どれだけ本人が「自分は腕が良い」と主張しても、実際に塗ってみるまではわかりません。それならば最初から資格を持った人に頼んだ方が賢明です。
☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆
昔は住宅に使われる塗料はアクリル・ウレタン・シリコンの3種類がほとんどでした。特にシリコン塗料は、今では分解されにくいハイブリッド塗料になっているので、15年ぐらい持つようになっています。昔は3~7年しか持ちませんでした。皆がそれぐらいしか持たないと思っていたので、どんな塗り方をしても良かった時代もあったのです。しかし、現代の塗料は耐久性が伸びただけでなく、機能性も高まりました。そのためきちんと規格を守って施工しなければ性能を発揮できなくなっているのです。
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- [コラム著者]矢野克己
- 一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。